マクドナルドへの時給引き上げストについて、ちょっと待てと言いたい
先週の記事ですがちょっと気になったので。
マクドナルドの従業員から経営者へ: 時給を2倍にして! (鎌田 傳) - BLOGOS(ブロゴス)
要約すると、マクドナルドは会社や経営者がそんなに儲かってるなら従業員にも還元してよ!とストを起こした人たちがアメリカにいた、という話です。
この記事で引用されている事実の主張と思われる部分がちょっと面白かったので突っ込んでみたいと思います。
まず、マクドナルド他ハンバーガーチェーンのアメリカでの時給について。
・2012年3月、レジ係として仕事を開始した。時給は連邦政府が定めた最低賃金法に相当する7ドル25セント。
・その後、レジから調理場に回され、時給が8ドル25セントに引き上げられた。
アメリカでも日本でもマクドナルドのアルバイトは最低賃金が設定されている、ということですね。
そもそも労働の内容という意味でも誰でもできる単純労働だと思うので、まあ最低価格で労働力が買いたたかれてしまうのは致し方ないところです。
それより気になるのはここからです。
・現在、1カ月の手取りは約800ドル。その半分以上はアパート代、そして残りは食費、交通費、医療費に割り当てられる。(アパートには、病気の母親と身体障害を持つ弟が同居している。)
境遇が大変なのはわかりますが、前述の時給から計算すると、月の労働時間は100時間に満たないことになります。
やっぱり家族の介護に追われてるために、大した労働時間を確保することができないんでしょうね。
そして議論はここからクライマックスに突入します。
・「ほとんど毎日働いていますが、今の時給では暮らしていくことができません。ストに参加した理由は、マクドナルドには去年55億ドルの利益があった、ということを聞いたからです。私はマクドナルドに騙されました。55億ドルという大きな利益があるのに、私は満足な生活ができないのです。知り合いがレストランで皿洗いの仕事をしていますが、彼の時給は、私の8ドル25セントより多い9ドル50セントです。」
いやいや、仮にほとんど毎日働いているとして、月間の出勤日数を25日とすると、一日当たりの労働時間は4時間弱になってしまいます。
さすがにこのくらいの労働時間で、ゆとりのある暮らしをするのは難しいんじゃないですかね?
学生が自由に使えるお金が欲しくてアルバイトするのと同じくらいの労働時間ですので、まあそれくらいしか稼げないのはある意味当然の帰結といいますか。
そもそも、マクドナルドは最低賃金法を守って雇用しているわけで、ストをするのは自由ですが正直社会から共感を得るのは難しい気がします。
知り合いがレストランで皿洗いの仕事をしていますが、彼の時給は、私の8ドル25セントより多い9ドル50セントです。
だったら転職すればいいじゃん、と思うのが普通の感覚ですしね。アメリカは知りませんが。
スキルがモノを言う中途採用の市場ではなく、比較的初心者でも働きやすいアルバイト市場なわけですから、そこは職業選択をがんばれ、と言いたいところです。
また、この方の家庭環境が普通の人に比べて非常に厳しいのは大変だな、と思いますが、儲けている企業や経営者に対して、「余ってるんだったらくれ」って言っても、それじゃ乞食になってしまいます。
この方が多くの時間働けない、もしくはアルバイトしかできないのは、家族の看護が必要だからでしょう。
そうなると、これはもう社会福祉の領域です。
営利企業の典型というか怪物たるマクドナルドにストを起こしてもしょうがないと思うんですよね。
相手は全世界であらゆるマーケットに対応しているグローバルの覇者なわけですから。
労働力をいかに効率よく組み合わせて事業を回すかということは熟知しているわけで、そんな相手にストなんて起こしても、切り捨てられる以外に道はないと思います。
福祉環境について文句があるなら、やはり正攻法は国なり行政なりに訴えることだと思います。
百歩譲っても、儲かっている企業に対する法人税を増税して、その財源を福祉の領域に回してもらうようにすれば、この方の望みも間接的にはかなう気がします。
現実はそううまくはいかないでしょうが。
とはいえ、的外れに金持ちに対して乞食を行うよりはまっとうだし、世の中の人も共感してくれるのではないでしょうか?
アメリカも日本も同じようなモヤモヤを感じますが、ブラック企業だとかの被害者の方々とかはやっぱりこの辺の「誰に対して、何を要求するか」がちょっと下手なんでしょうね。
だからこそ現実を変えられないし、望まないブラックな職場で働き続けざるを得ないのかな。
知恵って大事ですね。
時給800円のフリーターが3年で年収1000万円に変わる仕事術
- 作者: 松田元
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2012/12/21
- メディア: 単行本
- クリック: 12回
- この商品を含むブログ (1件) を見る