事業拡大のゴールに「インフラ化」を掲げてはいけない
今日は朝からauが通信障害を起こしてLTEが使えず、不便な一日を過ごしました。
今日はそんな中感じた「インフラ」に関することをつらつらと。
一つのゴールとしてのインフラ
世の中には「インフラ」と呼ばれるものがいくつかあります。
大半は国や市区町村が運営、管理している道路とかになります。
でも、中には営利企業が運営しているインフラもあります。
電気とか鉄道とか、今回のauのような電波とかもそうですね。
鉄道とか電話のようにもともと国営のインフラだったものが、民間に渡った場合には当然その規模を引き継ぐことになりますので、上記のような営利企業かつインフラということがまま起こります。
また、それ以外でも一介のベンチャー企業から始まって、あまりに多くの人に使われるので「インフラ化」した、というケースもあります。
WebなんかではGoogleとかfacebookとかLINEなんかもそろそろインフラと言っていいかもしれません。
サービスを提供する側からすると、より多くの人に使ってもらいたくて拡大拡大を繰り返していくわけなので、誰もが使っているインフラというのはある意味ひとつのゴールという感じもあります。
私の所属している会社もWeb系ですが、インフラと呼ばれるサービスを作ることをミッションに掲げていたりします。
ただ、単純に営利企業として考えると、「インフラ」と呼ばれるのもいいことばかりではありません。
インフラと呼ばれることの功罪
まず、今回のauの通信障害で私が感じた感情がこれに当たりますが、基本的に評価が減点方式になります。
サービスを提供してくれて当たり前、一つ問題が発覚すると大クレームってパターンですね。
本来、インフラと言われるほどまで昇華したサービスというのは、その高度な機能を維持するだけでも大変なので、常日頃感謝してもいいのかもしれないですが、人間慣れてしまうとなかなかそうはいきません。
普段の快適な状態など忘れて、一個ミスがあるだけで大問題に発展したりします。
単なる営利企業なのに、ステークホルダーなのかどうかもよくわからない人たちに「社会的責任ガー」とか言われてちょっとかわいそうです。
また、役所なんかも一種のインフラと呼べるので、やはりミスの方が取りざたされるタイプですね。
本来ビジネスというのは多くの場合、業界のトップを取ることで多大な恩恵を受けるものです。
例えば、価格の決定権なども多くの場合は業界のリーダーが決めていくことになるので、利益を出しやすい有利な立場にいます。
ところが、規模を拡大しすぎて「インフラ」と呼ばれるようになると、突然その価格決定権を奪われる形になります。
まあもともと国営で優越的な地位にある、電力とかがその独占的な地位を利用して勝手に値上げするのはちょっと問題なのでこれは制御するべきだと思います。
ただ、なんのしがらみもないベンチャー企業が一気にシェアを拡大し、それまでの先行投資分を取り戻すために、有料化あるいは値上げなどしようもんなら、「優越的地位の濫用ダー」と鬼の首を取ったように騒がれたりします。
こっちはちょっと納得いかないですね。
圧倒的なインフラよりも理想的な棲み分けを
そう考えると、ことビジネスにおいて利益を確保していくためには、インフラを目指すと宣言しつつも、実際は「インフラの一歩手前」を目指すというのが賢明ということになります。
業界トップに君臨して、2位以下に大きく差を付けつつも、決して独占ではないという理想的なポジション。
もしくは、ポジショニングの異なる他社と、業界を二分するような状態。
実際のところは、そんな立ち位置を目指して事業を運営していくのが賢い経営者なのかもしれません。
私も最近、事業の戦略を練るときは、圧倒的なNo.1を取ることではなく、競合と如何に棲み分けるか、ということに主眼を置くようになりました。
戦争でも同じですが、相手を滅ぼすような殲滅戦となると相手も死に物狂いで抵抗してくるので、勝ったとしてもこちらのダメージが大きいんですよね。
それよりも、いかに相手に理想的な退路を用意して、うまいこと撤退してもらうかが重要ということに気づきました。
この考え方は経済学でも、「利益の出る状態」として推奨されている、いわゆる「無競争」状態を目指すものです。
もしくは、三国志で言うところの「天下三分の計」と言ってもいいかもしれません。
こうやって引き合いを出すと、なんか正しそうなことを言っているような気がしませんか?
というわけで、今日はこのくらいで。
インフラどころかまだ卵に過ぎない事業を業界トップに育てるために、仕事に戻るとします。
※追記
この記事ホントは昨日(5/29)に書いててUPできなかったので、冒頭を書き換えなきゃなー、と思っていたんですが、今日(5/30)もauは2日連続の障害をやってくれたので、書き換えずに済みました(ポジティブ)。
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