マクドナルドを凌駕するケンタッキーの”いぶし銀”商品戦略
最近サボり気味だったのでたまにはちゃんとしたブログを書こう。
今日は私の大好きなファーストフード×競争戦略のお話。
マックとケンタ、それぞれの味
先日、マクドナルドに行きました。
そこで、今一押しの期間限定商品、ポークタツタを食べました。
タツタと言いつつぜんぜん竜田揚げじゃないじゃん!と怒りをあらわにしつつ、お店を去りました。
別の日、今度はケンタッキーに行きました。
そこで、今一押しの期間限定商品、旨辛チキンを食べました。
ちょっと辛すぎて、自分的にはあまり好きではなかったです。
次回はオリジナルチキンを食べよう、と思いつつお店を去りました。
あえて定番化させない限定商品の妙
こんな体験をして、自分はマクドナルドとケンタッキーの戦略の違いがなんとなく見えた気がしました。
マックの強さを支える戦略の一つに、季節商品としてもはや定番化した限定商品の存在があります。
春はてりたま、夏は何だ?、秋は月見、冬はグラコロ。
枕草子も真っ青の季節感を表現していて、毎年この時期を楽しみにしているファンも多いのではないでしょうか?
ただ、最近はこれら定番化された限定商品が強すぎて、本当の意味での期間限定商品の中で人気メニューを生み出せていないのが弱みです。
最近のマクドナルドの既存店売上高の減少の一因だと思われています。
反対に、ケンタッキーの期間限定商品はなかなか季節定番というほどは一般化できていないようです。
残念ながら、この時期になる毎年出るなー、という風物詩的な商品は思いつきません。チキンもサンドも。
実際に、私が食べ比べたごくごく個人的な感想になりますが、元祖であり主力であるオリジナルチキンを上回る味には一度も出会えてない気がします。
しかしながら、実はこのケンタの「オリジナルチキンには及ばない」という期間限定商品のポジションが、実は戦略上非常に重要な意味を持っている気がしたのです。まさに秘伝のスパイス。みたいな。
看板商品を支えるいぶし銀の限定商品戦略
ケンタッキーの戦略の主軸には、圧倒的な人気とオリジナリティを誇るオリジナルチキンの存在があります。
期間限定商品を定期的に送り出しつつも、そのオリジナルチキンには及ばない味を演出することで「やっぱオリジナルチキンだね」という感想を顧客に抱かせることになり、限定商品がないレギュラーシーズンでのリピーターにつながりやすいのです。
反対に、マックはレギュラーメニューよりも限定商品の方が魅力的なので、限定商品があるときしか集客力がありません。
ケンタのように、念願の月見バーガー食べてみたけど、やっぱり普通のハンバーガーだなあ、となる人はきっとそんなに多くないはずです。
むしろ、最近は季節限定商品すら季節の風物詩として定番化してしまいましたので、それ自体は非常に強いしすごいことなのですが、今となってはそれが仇となってしまっている気がします。
限定商品が定番化することで、もっといい商品、もっと面白い商品という形で、次々にヒットする限定商品を企画していかないと、どんどん陳腐化して顧客が飽きてしまうということです。
ケンタッキーのように圧倒的に強い柱となる商品がある場合には、あえてそれに及ばない二番手商品ばかりを送り出すことで、相対的に看板商品が輝いて見えるという戦略もあるんだな、と実感できた体験でした。
あえて看板商品をつぶさないように二番手に甘んじるケンタの限定商品たち。
ミハエル・シューマッハ全盛時のルーベンス・バリチェロのサポートで輝いたフェラーリを思わせるケンタッキーの商品戦略でした。まさにいぶし銀ですね。
逆に考えると、マック再生のシナリオとして、ハンバーガーの伝統を捨てて、めちゃくちゃ美味しくしてみる、というのもありなのかな?
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