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マクドナルドの「顧客をレジ前で立たせる仕組み」は嫌いだけどすごい

大好きなファーストフードチェーンの戦略ネタです。


自分はよくマクドナルドその他のファーストフードで食事をしますが、その一連の流れの中で一番嫌いなのが、注文後レジ前で商品を待っている時間です。


基本的に待たされるのが嫌いな人間なので、注文後はすぐに商品が出てくるか、もしくは席まで運んでくれるのを期待したいところなのですが、最近は席まで運んでくれるチェーンも少数派となりました。


今日はそんな、レジ前の商品提供における各社の戦略をご紹介。





王者マクドナルドの商品提供の歴史

まず、大人の皆さんはご存じだと思いますが、かつてマクドナルドはほとんどの商品を作りおいていました。


レジの後ろの商品ストッカーにはランチタイムなどの混雑時にはいろんな種類のハンバーガーがあらかじめ二つずつくらいは並んでいたものです。


当然これは、ファーストフードとして注文から商品提供までのタイムラグを減らすための方法です。


ただ、その副作用として、作り置きだからあまりおいしくない、という風評をマックは頂くことになります。(別にできたてでもそんなにおいしくないが)


ところが、現原田社長の就任とともに、この作り置きシステムを改革させます。


キッチンの仕組みを抜本的に改善し、注文から40秒で提供できる画期的なシステムを作り上げたのです。


これにより、マクドナルドは作り置きをやめ、注文後いつでも熱々の商品を提供できるようになりました。


また、その副次的な効果として、注文後はレジ前で客を待機させることができるようになり、商品を席まで運ぶスタッフを極力減らすことができるようになりました。





強豪モスバーガーのできたて差別化戦略

対して、国産ハンバーガーの雄、モスバーガーは真逆の戦略を最初からとっています。


マックが作り置きをやめる前から、モスバーガーはできたての商品にこだわり、注文を受けてからすべてを作る方針を取っています。


そのため、モスバーガーは基本的にドリンク以外の商品は、番号札をもらって席で待つスタイルとなっています。


これは、必ず商品を席まで運ばなければならないので、ホールスタッフの人件費は増大します。


しかし、そのコスト増は国産有機野菜にこだわった素材、できたて熱々の美味さで高価格を実現し、さらにはモス婆と呼ばれる高齢者パートスタッフの雇用により、コスト削減を実現して吸収しています。


一つのポジションにこだわったわかりやすい戦略と言えますね。





三番手以降のパクリ戦略の悲しさよ

そこで、ここにその他チェーンの話をしましょう。具体的にはバーガーキングとかフレッシュネスとかですね。


マック、モスに続く三番手以降のバーガーチェーン集団は基本的にはリーダーであるマックの戦略に追随する展開が多いです。


マックがバリューセットを始めれば、セットを始め、メガマックを始めれば大ボリュームバーガーをまねするのです。


まあフォロワーの戦略というのは基本的にはリーダーが開発した有効な手法を、あっさりと真似することなので、それ自体は悪いとは言いません。


ただ、この商品提供時間ということについては、あまりよくない真似をしているチェーンが多いように見受けられます。


前述のとおり、マックはキッチンを抜本的に見直し、商品提供時間を縮めることで、レジ前で客を立たせることに成功しました。


すると、これを見たフォロワー各社は、これはいい!と思ったのでしょう。


客をレジの前で待たせておけば、商品を席まで運ぶ必要がないので、人件費が削減できるではないか。


マックのやり方も受け入れられてるし、うちらも怒られることはないだろう。


と言ったかどうかは定かではないですが、おそらくそう考えたのではないかと思います。


そして、フォロワー各社も注文後はレジ前で客を立たせる仕組みに変えました。商品の提供時間を縮めることなく。





他社の戦略を真似るのは意外と難しい

何が言いたいかは明白ですね。


リーダー企業の戦術の全体を見ることなく、表面的な部分だけ真似した結果、全体がちぐはぐになり、顧客満足度を低下させる結果を招きました。


これじゃフォローじゃない、単なるパクリや。


今回書いたような話は極めて単純な話なので、本当はバーガーキングの担当者もわかったうえで、いろいろ計算してやっているんでしょうが、素人ブロガーが表面的になぞるとそんな感想を受けるっていう話です。


他社の戦略をまねするというのは意外と難しく、表面的にまねしてしまうとかえって自社の戦略にマイナスに作用したりするので、判断は慎重にかつ迅速に行わないといけないですね。




最後に蛇足ですが、マックのレジ前の待機システムは自分は大嫌いです。


なにより待機場所が狭いのが嫌だ。


レジの右側でお待ちください、ってそこには隣のレジで注文している人がいるからね。


提供時間の短いマックなら耐えられますが、客的には立って待つのは耐えられるだけでプラスではありません。


フォロワー各社はおとなしく席まで運ぶことを念頭に置いて、別の部分で価値を打ち出したほうがいいと思いますよ。