食べログにネガティブな口コミを書くのが許される理由
こんな記事を読みました↓
食べログを始めとした、お店が特定できる形でのネット上の口コミ。
不特定多数の目に触れる形でのネガティブな口コミはもはや営業妨害だ!という論旨なのですが、本当でしょうか?
ちょっと反証してみます。
口コミは所詮「個人の感想」にすぎない
まずい店の情報というのはそれはそれは有益なのですが、友達のあいだだけならいざ知らず、それが不特定多数のユーザー(見込み客)に広まってしまうほどの影響力を持つと、もう立派な営業妨害になってしまうわけです。
“まずい”ことが真実にせよ嘘にせよ(そもそも主観ですし)、そういった書き込みが名誉毀損にあたることはブログブームが始まったときぐらいには言われていました。
話を食べログなどの飲食店の口コミに限定して話を進めますと、上記の記事ではそもそも「美味しい」「不味い」というのは個人の主観であり、事実でも嘘でも営業妨害に当たるかのような書き方をされています。
事実でも営業妨害に当たる、という考え方に驚きを禁じ得ないのですが、これって論理的に正しいでしょうか?
私も当然味覚なんてものは極めて主観的な話だと思います。
私が美味しいと思うのものを大多数の人が不味いと思うこともあるでしょう。
なので、そんな主観のみで書かれる口コミには客観的な事実というものは存在しないというのが前提となります。あくまで「個人の感想です」というやつです。
これは、味だけでなく、サービスや店の雰囲気についても同様です。
そう考えると、ネット上の口コミが一見その店を貶める悪評に見えたとしても、それは一個人の主観にすぎないのですから、なんの名誉毀損にも営業妨害にもならないと思うのです。
あくまで、「私の舌には合わなかった」という意思表明に他なりません。
本当に不味くない店に悪評は立たぬ
そう考えると、次のような論理展開も成り立ちます。
訴状によると、男性は北海道北広島市に店舗を持ち、取引業者の勧めで昨年2月ごろ、食べログに情報を掲載。昨年8月と今年3月に「料理が出てくるのが遅い」「おいしくない」などと投稿され、直後に客が激減したとしている。
これは食べログを訴えた、飲食店経営者の主張です。
気持ちはわからんでもないですが、これ本当に食べログのせい「だけ」なんですかね?
前述したように、料理が出てくるまでのスピードや味覚は全て個人の主観です。
実際、食べログのそこそこの人気店の口コミを読んでいても、人によって評価はまちまちで、美味しいと感じる人もいれば、値段の割には美味しくないなどと感じる人もいます。主観なんですからこれは当然です。
ネット上で口コミを読む側のユーザーも当然そんなことはわかっていますので、あくまでそれぞれが個人の主観だということを前提に読み、行動するわけです。
そう考えると、食べログにちょっと悪評を書かれただけで客が激減するということは、個人の主観であるはずの口コミが概ね客観的事実を言い当てていた、ということにはならないでしょうか?
火のないところに煙は立たぬ、ではないですが、本当にその店の料理が大多数の人にとって美味しいと思えるなら、多少悪評を書かれたところでそれは少数派になるはずなので、大した影響力は持たなかったはずです。
これを指摘してしまうと身も蓋もないですが、おそらくその店は利用した多くの人が悪評に納得してしまう程度のサービス、味のレベルに過ぎなかったのではないかと思います。
いずれにしろ、食べログを訴えてる暇があったら、悪評が嘘であることを証明するために味を磨いたらどうか、と思えてなりません。
情報に対する責任は市場で取るべき
なんか後半、食べログを訴えた店を批判する内容になってしまいましたので、最初の記事に戻ります。
実際に、店が悪いのか、客が悪いのかは分かりません。けれど、そういった情報を集めてまわりに知らせる行為に責任がともなってくるのは、当然の流れと言えます。ダダ漏れは、正義じゃないんです。
この点については半分同意。
当然情報を集めて公開する以上は嘘が蔓延したり、悪意のある人によるデマが拡散しないように努める責任はあります。
ただ、その責任のとり方は訴訟などという無粋なものではなく、嘘やつまらない情報が掲載されているサイトはユーザーに好まれない、という市場の原理による排除で行われるべきです。
少なくとも、明らかな嘘に対する情報の削除依頼を無視していた、くらいでないと裁判所の出番はないと思います。
間違っても、この記事が主張するように、事実かもしれない悪評が掲載されることが違法だ、などという認定はされてはいけません。
少なくとも私の主観では、そんな社会は嫌いです。
最後に一言。
この問題の記事自体、「事実か嘘かわからない悪評」によって食べログとカカクコムを批判する内容なので、営業妨害に当たると思うのですが、そのあたりは如何お考えでしょうか?
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